- 作者: 東直己
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2012/02/15
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
・
東直己はミステリとして読んではダメなのだ。終盤のこの唐突感は、もう、毎度のことながら、あらためてそう思った。
じゃあ何が良いのかと問われれば、執拗なまでの人物描写だろう。特に、名前のない、繁華街の住人達がこれまた、てってー的に書きこまれてる。意味不明なくらい。
オレの印象に残るのは、「DE愛」の案内係。なんでああんなにキャラたってんだ?あと、「DE愛」の自称サラリーマンも良かった。どちらも、本筋にはあんまり関係がなくて、詳細なディティールは必要がなく、本来的な意味では削るところだ。
でも、こここそが、東作品の「厚み」なのだ。
舞台が重要なのだ。舞台を描くということは、その住人を描くということなのだ。建物も描くのだ、店も描くのだ。第四パープルビルで、ケラーオオハタなのだ。
10年以上前、N◎VAっぽいと思った。そして、コネ判定による情報収集はこうやるのかと納得した。そして今でも思っている、街や事件の内容が、時代に合わせて変化しているところも、よく似通っている。
東版、ススキノクロニクルとか誰か作んないかなぁ。
・
事件は、畝原シリーズにしては軽い方だ。これが軽いと感じるんだから、読者であるオレもよっぽどなのだろう。*1。や、まぁ、熾火が特別酷かったわけだがー。
事件自体は、若者たちの幼稚さ稚拙さが空恐ろしくもあり、まさに眩暈だ。それでも大人が愚かでなかったら、酷くはならなかったんだろうが、が、しかし、そこは仕方のないことなのだろう。誰しもが愚かさとは決別できないものだ(オレも大人になたなー)
・
次の話では、冴香ちゃんは就職ですかね?(まだ文庫になってないだけで、作品シリーズ自体は完結しているらしいが)東京の企業に勤め出したりするのだろうか。すると、家を出たりするのかな?
だとしたら寂しいね。子供の巣立ちというのは。