旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)

旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)

読了の43。

奥付は、8/15発行。8/25、二刷。大人気だな、オイ。これも映画効果か・

気がつけば、「俺」が年をとってからの話はこれで五冊目*1。シリーズの半数は占めた計算だ。だからだろうね、過去が絡む物語が多くなる。
今回は第一作目の登場人物、デート嬢モンローの登場。そう、「ソープランドがトルコと呼ばれ、エイズアメリカの変態だけが罹る奇病だった頃」からのゲストだ。
ああ、これだけでしみじみしてしまう。作品内時間で四半世紀。リアル時間で16年。オレ主観では13年前だ。モンローと別れてから、それだけの時間が経ったのだ。オレも「俺」もまだ20代だった。

松尾が「俺達も年を取った」という、しかし「俺」は「俺はそんなでもないよ」と言う。桐原が聞いたら「お前はほんとにバカだからな」と言っただろうと思う。
まぁ、なんだ。相変わらずの「俺」の袋叩きにされっぷりからして、若いと言うのはまぁ、そのとおりだなとは思うよ。
そんでも、「この歳になって、30歳年上の友達を持つと、いろいろしんどい」とか、桐原がもうすぐ古希だと悟ってうろたえたりとか、自覚はあるんだろうけども。

夕張→ススキノのチェイス、網をかいくぐっての脱出行。すべてを語ろうとしない依頼人。そして炸裂する郵便物、その正体!実に面白い。最近のこのシリーズは、ほかの作品のアナザーストーリー的な扱いが多かったので、久しぶりにしっかりした食事を摂った気分だ。読後の切なさもいい。
しかしあれだな、ほんとにインターネットは便利だなー。そんなに利用するなら、スマートフォンとかもちゃぁいいのにな。

*1:「半端者」は除く。文庫化していない作品もカウントしてない。全部オレ主観の話。