ほんもの

解けた雪が凍り付いて、道は非常に歩きにくい。駅から仕事場の、いつもの通勤路にえらく難儀する。
さて、途中にイトーヨーカ堂がある。その駐車場の出入り口で、毎朝車道に向かって、何事かをにこやかに語りかけている爺さんがいる。もちろん、特に誰かに語りかけているわけではない。毎朝である。(何を言っているかは知らない。オレ、通勤途中はイヤフォンしてるし)
で、まぁ、この日の朝もいた。いつも通りだった。オレはここにたどり着くまでに大汗かいているというのに。
じいさんは、いつも自転車で現れる。この日も、いつも通りにじいさんの愛車が傍らに止めてあった。オレは歩くのにも難儀しているというのに、じいさん自転車できたんか…。
ああ、ホンモノなんだなぁ。と、思うと同時に、ホンモノはやっぱすげぇなぁ。とも思った。