ビューティフル・ドリーマー

実のところ、危機は迫っていたのだった。
ヴェトランドは議長権限を発動し、治安の悪化するばかりのアンハーグ市に、隣国ルクレティア公国から軍隊の治安出動を依頼していたのである。
この事は議会の承認なく行われ、アンハーグ市民のは誰一人知ることではなく、すでに公国軍はアンハーグより三日の位置に迫っていたのであった。

この事実を知らせてくれたのは、誰あろうルクレティア公国軍司令であるヨシュア・カートランドであった。彼は単身アンハーグに乗り込んできて、議会に面談を求めたのである。
ちょうどその頃、スターマスター以下の冒険者の働きによって、ハウルデルら武装勢力は議事堂から取り除かれたところであった。
急ぎ対応を協議するため収集される議会。
最悪のシナリオが回避された瞬間であった。

日は風のように過ぎ去る。
町中があわただしく動き、事後の処理に終われる中、例年通り夏至祭が行われた。
ミッドサマーの祭典はアンハーグ付近周辺ではもっとも大きな祭事である。準備不足は否めないながらも、人々は祝日を賑々しく盛り上げる。
一方、「ミツコの店」ではでわれらが冒険者一行に対し、今回の活躍の労いの宴が設けられいた。
くつろぎ、酒と料理と、歌と踊りとを楽しむ面々。
通りでは、祝祭の目玉であるパレードがちょうど店の前を通りかかる。誰もが陽気に浮かれ騒いでいた。

一同の視線が野外に向いた時、室内に大型精霊が召還される*1。召還者の悪意をを受け、怒りと敵意の咆哮をあげる大型のアースエレメンタルとウォーターエレメンタル。
何者が召還したのか?それすらも判らないまま、店内は騒然とし混乱をきたす。逃げ出すもの、武器を取るもの、ただただ呆然とする者。一向はすばやく平静を取り戻し、事態に対応しようとする。
冷静に動向を観察すれば、何者が敵なのかは看破しえた。不自然な客が二人。
そこにドラードの呪文が炸裂する。エヴァーズ・ブラックテンタクルズ*2、魔法の黒い触手がエレメンタル諸共不埒な敵を絡め採る。ヒョウゴのエクトプラズムの壁がエレメンタルを覆った時、大勢は決した。
ほっと胸をなでおろし、安堵する一行。
だがしかし、その時こそ敵が待ち望んでいた瞬間だった。

*1:エレメンタルジェムを使用。

*2:よくもまあ、こんな地味な魔法を習得していたもんである。