この国はすでに我らが国よ、それとも貴様らの主は約定を違えると言うのか?

さて、前回は暗兵組織「ラフイングエイプ」の首領を暗殺することに成功した一行でしたが。

ここで現状を整理してみましょう。
現在ジルベルヴィント候領は、その正式な領主シルバードラゴン「麗銀星」の支配を外れております。それは彼女が突如襲来したオーク軍に城を追われたからです。
内通したのは「ラフイングエオプ」、卑劣な裏切りでした。
更には、銀竜の仇敵である霜の巨人族までもがオーク軍に呼応し、麗銀星の居城「奉星宮」に入城しました。
シルバードラゴンは古き遺跡「多識の扉」に立てこもるのがやっとの状況でした。

そして三ヶ月、PL一行によって状況の変化がもたらされます。
「祈星楼」(star players view)にいたラフイングエイプの首領、ゾークが死亡した事がオーク軍に知らされたのは一日以上経ってからの事でした。
ここでオーク軍幹部は方向の転換を迫られる事となるのです。
ラフイングエイプはゾークの死亡により事実上瓦解します。情報収集機関を失った以上はドラッヘンシュタットの街は軍事上の自由度を損なう事しかありません。
次善の策としてドラッヘンシュタットの包囲殲滅が提案されました。
ですがこの作戦は同盟者である霜の巨人族から反対されます。
霜の巨人族の首長、ニーズホッグは新たなるジルベルヴィント候領の支配者であるの宣言をしているからです。ゆえに外国の駐留軍であるオーク軍に独自の作戦行動を許すわけにはいかないのです。
オーク軍はニーズホッグの抗議を受け入れ、作戦第二案を実行に移すことにしました。
すなわちは撤退です。
もとよりジルベルヴィント侵攻における戦略目標はすでに達成されています。
自由度を失ったままこの地にとどまる事になればそのまま遊軍となってしまうでしょう。
今回の侵攻作戦は、中原で展開されている大戦略の側面作戦でしか在りません。
即座に周囲に展開していたオーク軍の集結が命令されます。
宿営地の撤収と進軍の開始、生まれついての略奪者であるオークの動きはすばやいものでした。
念のために、後方警戒としてドラッヘンシュタットに対する威力偵察が立案されます。
レッサー・プレイナー・アライを使用し悪夢の馬を召還、この任に充てます。
偵察には、将校偵察として司令官自らが赴くこととなりました。
ドラウの女戦士ヘルガ、この地で意外な再会が待っていようとは彼女自身も思ってもいませんでした。