松本顛末記

朝、目覚めると街は白くけぶっていた。
舞い散る一面の雪、雪。
埼玉に住む僕にはおよそ考えられない密度で松本の上空を埋める雪。
駅前のビジネスホテルの9階から眺めおろした市街はすでに多量の積雪で真っ白。
昨夜は深夜の二時まで呑んでいた、雪の気配など何所にも無く
「以外にあったかいねぇ、松本」などと呑気に会話していたものだ。
それから五時間しか経ってないんだぜ?
暫し呆然とする僕の横で松朗さんがケータイで情報収集をする。
「松本でも、この冬一番の積雪だそうです」
「最悪の場合、松本に閉じ込められて今日中には埼玉に帰れなくなるかも知れません」
明日は月曜日、当然の様にミンナ仕事がある。帰れなくなるのは困る。
怖いのは道が凍ることなのだ。だから凍る前、昼過ぎに街を離れればよい。
しかしそうすると今回の目的は果たせない事となる。
RPGコンベンション「N,T,T,」
コンベは如何早く終っても6時、帰りには絶好凍ってる按配。
上はチェーン規制(ちなみに車にチェーンは積んでないw)
下は凍ってるかも知れぬ峠。
車に慣れておらぬドライバー。
涙を呑んでコンベ参加を諦めたのは朝の9時位だったか。
窓の外には深々と降り続ける雪があった。