SF

第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

読了の20。

走也って名前はいいな。いや、主人公の名前だけど。
走也は透明だ。熱意と行動力があり、物語の中でメキメキと経験と実績を積んで行く。しかし、それ以外の背景が彼には見えてこない。

理由は簡単だ。語られないからだ。
物語の語り部は、主人公である走也とヒロインである妙。
しかし、走也は自分に興味が無い。というか、やるべきことが多すぎて、走也は内省している余裕は無い。自分を語らない主人公。
一方、ヒロイン妙は、コレもまた忙しく。自分のことでいっぱいで、「お付き合いしているカレ」の事を想う余裕が無い。故に、ヒロインも主人公を語らない。
ただまぁ、想像は付くんだ。走也はきっと、普通の家庭で育って、普通に愛されてきたんだろうなーとか。屈託というものが無い、そういう空気を身にまとっているから。
主人公が透明な分、彼を通して読者は妙と接することが出来る。コレは計算してやったのかなぁ。多分そうだろうなぁ。ラノベ、というか若年層向けの物語は、主人公を薄味にするのが常道とどこかで読んだ気もする。

個人的にはラストは蛇足なような気もする。
でも、広がりのある読後感は、やはり、ただしい。コレは気分の問題かなー。

さて、オレは小川一水を知ってしまったわけで。
次は何を読もうか?