D&D、【〜昇華の竜〜】


ギャラハンの中の人が言ったんです「次はルインに行くしかないな」と。
マジですか?と問えば。
「だいたい、俺たちのキャラはルインの事をほとんど知らないだろう?第一に、今のルインがどうなってるかも判らないし」
はぁ、まぁ、確かにロールプレイ的な事とかも含めても、行動の選択肢から外すのは不自然ですなぁ。
でも、大丈夫かいな。相手はあのルイン・オブ・ヴェンジェンスだぜ?


▼ルイン・オブ・ヴェンジェンス
ルイン・オブ・ヴェンジェンスという名の地下迷宮がある、応報の廃墟と言うほどの意味であろうか。もけ氏のキャンペーンワールドでは初期の頃からその名を聞いた、災厄の屯する極めつけの難所である。
オレは、今からリアル時間で8年位かそれくらい、AD&Dの頃からのこのダンジョンとの付き合いがある。まぁろくなもんじゃない。入り口に到達するだけで精一杯だったり、12Lv13人で突入し中心部に近づけも出来なかったり、世の神々全てを敵に回し戦争できるようなラスボスが出現したりと、キャンペーン的に大きな転機にその名が挙がる、不到の迷宮なのであった*1


今回、最初の助言で謎の老婆からの示唆に、このルイン・オブ・ヴェンジェンスが出て来たときには、オレは苦笑し、脱力し、恨み言をこぼした。他の戦友もそうだった。
ちなみに、今回のキャンペーンで参加した人間が3人、前回から参加が一人。この四人は、ルインを知らない。だから、オレたちが何故その名を耳にした時に苦笑いをしたのか訝しく思ったろう。うん、ゴメン。でも、判って欲しい、オレとしてはドラクエIIの「海底の洞窟」ミタイな所なんだよ。


我々はこれらの前提たる認識を共有する事無く、しかしルインの前に立ったのだ。正直オレは、つまりはシモン・マロードの中の人であるプレイヤーは、やけっぱちになっていたのだった。
「やれれるだけヤッテやろうじゃあねぇか」


▼モンスター・ハンター
ルインに向かう移動中、ワンダリングモンスターとの遭遇が発生。
DMが出してきたのは、フィーンディッシュ・ティラノサウルスのミニチュアー。DMが識別の為の知識判定を要求する。
「知識:モンスターハンターで判定してー」
ね ぇ よ っ !
どうやら、このお方はティガレックスというのらしい。

こんな感じのヤツか?
ティガレックスは咆哮を上げた、いっせいに冒険者一行は耳を押さえて蹲る。だれかが呻いた、「高級耳栓が必要だ」 
しらねェよ(笑)
シモン決死の突撃、しかし高い外皮に阻まれる。まぁ、あたった所で、HP30000とかほざいてやがるので、どうなる物でもないのだが。
対象を観察していたパレッタが気付く。このティガレックス、創世の八器の一つの担い手であるらしい。しかも、あろう事かパレッタ嬢の元居た世界での恋人の、変わり果てた姿でもあると。
んなバカな、と思った所でわが身を省みる。シモンは獅子頭の獣人だが、元はといえば人間であり、次元踏破の際に転生したのであった。いや、しかしアレは、変わり果てたってレベルじゃねぇぞ
パレッタの元彼には、なんとかイベント的展開でお引取り願う。
あー、そうね、今後ともお付き合いの可能性はあるね、割と確実に。
だれか、知識:モンスターハンターを取得する?


▼応報の廃墟
スウォロンから歩いて移動、ルイン外縁部に到達する。巨大なクレーターのふちの様な所だ。一体なんでこうなってんだか…。
辺りは一面の廃墟、見わたせば入り組んだ迷路の如き街路をリビングスペルが徘徊している。よくよく観察すれば、徘徊するリンヴィングスペルには一定のパターンがあるじゃねぇの。
あー、パックマン
ここで、パーティの知力担当面々が頭を絞りパターン解析、すり抜ける方法を発見。まぁ、実に付き合ってられねぇよなぁ。


外縁部を抜けてもさらに続く荒野荒野、瓦礫の山と不穏な気配。目的地まで60マイル。
一行の全体の地上移動速度を調整し、時速3マイルを確保する。少しでもワンダリングモンスターとの遭遇確立は低い方がいい。


荒野で野営が一回、どうしても必要だった。安全な場所もとめて俺たちが入り込んだのはスタジアム。しかし、スタジアムの中では異形の饗宴が行われていた。
一言で言うと死霊の盆踊り?そう、サム・ライミな。キャプテンスーパーマーケットは何処だ?
一目で邪悪と知れる連中が、儀式をしながら奇妙な死体を中央の青い炎の中にくべている。どうやらネクロノートを創り出そうとしているらしい。ロクデモねぇ。
しかし、オレらの実力ではこれを排除するは難しい…。
仕方なく俺達は、これをやり過ごし、先を急ぐ事とした。
気になるのは、供儀に投じられていた死体だ。なんでどの死体も、ことごとくに顔がないんだ?


▼ヴォイド・ステップ
遂に中心部に到達した俺達、其処は巨大なすり鉢上の地形で、中心は竪穴となっていて中を窺い知る事は出来ない。竪穴までには、大きくて立派な石段が道を伸ばしている。ウォール・オブ・ストーンでも使ったのだろう。
用心深く入念に石段を捜査する俺達。その結果恐るべき事を知る。


ヴォイドってのがある。次元と次元の狭間、その真空にポカリと空いた穴のことだ。ブラックホールの如きモノだと思ってもらえば間違いない。ヴォイドの先にあるのは全き虚無であり、そこで事象は無限に引き伸ばされ拡散する。まぁ、平たく言えば「消えてなくなる」ってことだ*2
そして、竪穴に続く石段上には、視認出来ないほど微細なヴォイドが無数に浮遊しているのだった。なんだそりゃ。
試しに岩を石段に放り込む、数十フィートも行かぬうちに蒸発しちまう岩。瓦礫なら周囲には幾らでもあるから、一抱えもあるヤツを次々に放り込んでみる。確かに岩が通った後は、対消滅でヴォイドは除去される様だが、10分も立たないうちに新たなヴォイドが将来されてくるんだ。
どうやら石段の下に何か魔法装置が隠されている気配なんだが、石段を抜き打ちに切りつけてみれば、オレの剣が弾かれてしまった。アダマンティンの刃を通さぬとは、よほど強固な魔法で守られているらしい。金かけてやがる。


ルインに隠された黒の頂は、創世の八器が一つ「指輪」に関連するモニュメントだ。俺たちの仲間にも「指輪」の担い手は居る。アーケインマジックの専門家、エリティアがそうだ。
エリティアが指輪を起動、やつの周りを暗黒が包む。周囲60フィートに広がった暗黒は、視界をさえぎると同時にヴォイドを遠ざけていた。闇に身を潜め、ヴォイド・ステップをゆっくり降りる俺達。ここからだよ、ようやく本番は。


▼トラップ・ザ・ソウル
竪穴には下へと続く階段が設えてあった。階段を構成する構造物には、隙間なくびっしりと苦悶の表情を浮かべた顔、顔、顔。種族の別なく、性別た年齢のもばらばらの無数の顔。先日目撃した供儀において、青い炎に投じられた死体には顔はなかった。


漸く最下層に到達、せまい通路を慎重に進む。
行き当たって扉。その前にはドラゴンのゾンビ。ドラゴンゾンビに到る通路には謎のタイルがある。透明な結晶の中に封じられた、無数の苦悶の顔。誰かが囁いた「トラップ・ザ・ソウル」だ、と。
魂を捉える恐ろしい罠。捕われた魂がどうなるのか、想像するにゾッとしない。だが、要はあのタイルを踏まなければいいんだろ?
オレはジャンプ判定で、完全にかつ安全にとび超えられる。ケンドールは変身魔法で飛行能力を得れるし、パレッタは持ち前の擬似呪文能力のディメンジョン・ドアでドライセンを運んでくれるだろう。モンクのギャラハンのついては、この手の問題で彼を気にかける必要はない。前衛が囲めばドラゴンとはいえゾンビだ、どうと言うことはない。
実際、2ラウンドと少しで倒すことに成功した。や、まぁ、毎ラウンド「突き押し」でトラップの方に押し出されたのには参ったが(笑)
扉にもトラップ、爆裂化したファイアー・ボール。抵抗に失敗すると、爆風で押し出される。トラップ・ザ・ソウルのほうに。徹底してやがる。シモンが巨体を生かして壁代わりになり、事なきを得る。


▼黒の頂
そんなもの4Lvの冒険者にぶつけるか?!と叫ぶと。
脅威度的には問題ない。とのテンプレ通りの返事。ええ、まあ、おっしゃる通りなんですけどね。
爆裂ファイアー・ボールを乗り越えて入った部屋は、黒の頂の、正にその場所であり、その部屋では異形なる者どもが邪悪な儀式を執り行っていた。


中央にはラークシャサ、秘術魔法を操る強敵である。
ドカーン、ズババーン、トリャー!
激しい戦いが繰り広げられた。
そして冒険者は勝った。
よかったよかった。*3


▼担い手
黒の頂には、前代の「指輪」の担い手が封じられていた。死した後も指輪にとらわれ、滅する事も出来ないかつての英雄の姿が其処にあった。
片角のエルグラーデから「指輪」を継承するエリティア。そして、責務を果たした後に霧散消滅する古の魔法騎士。
「風の前の塵に同じ」明日はわが身と、自嘲的な笑みがシモンの獅子頭の口元に、浮かんで消えた。

*1:同じ様なのに、「ルドリエンザナス」とか「ザ・パレス」とかある。気をつけろ!w

*2:シモン・マロード、実は知識:次元界を習得しているのだった

*3:細かい所、覚えてません。すんませんw