結局、読めば引き込まれてしまうのだ。どうにもかすかならずの忌避感の正体は、親近憎悪ではあるまいか?自分のことを、そう疑ってしまう。
サーラの冒険関連の最後の作品、短編集である。おそらくは山本弘ティーンズノベルにおける最後の出版物になるのではないだろうか?そんな気もする。

一本目、脇役の視点からの、本編を補完するストーリー。外伝では良く在る使い方だが、老いたギルドマスターの話と言うのがシブイ。
そして不覚にもグッと来てしまう。わはは。

転じて二本目は上記のものを、主人公を少女にしたもの。ボクっ子ってやつである。山本節が利いている。

今回のメイン。構成も凝っているし、本編を直接補完する重要な話しだし、なによりキャラに力が入っているのが良く分かる。なんってっても作者お気に入りの、悪魔変身少女デルの話なのだから。
この変身少女ってところがなぁ、なんつーか山本弘のポイントでもアリ、ボクが時にはどん引きする部分でもあり。
オタク趣味丸出しの造作を、イキイキと描写する部分が、まぁ、もにょる、と。自分も好きなのクセにね。
や、好きだからか。だから、鏡に映った自分を見るようで、つい目をそむけるのか?
面白いと感じつつも、素直にそれを受け入れられない(ツンデレか?)そんな自分心理を、そう分析して見るわけだ。

サーラはコレでオシマイ。TRPGの仕事は、最近はサッパリの山本弘
ハードSFに仕事はシフトしていくのだろうか?
とりあえず自分的には、積読になってる「神は沈黙せず」をなんとかしなくちゃねぇ。