読了分

○城物語
富士宏の昔の漫画。何せコミックゲーメスト連載なのだから恐れいる、知ってるかね?今の若い人はゲーメスとを(笑)
このたびめでたくコミックス発刊の運びとなった次第、連載誌が休刊してそれっきりだったからねぇ。
コミックゲーメストはこの城物語と市川裕文のアメコミ解説コラムしか読む物が無くてずっと立ち読みだったんですが。読み返してみると、ちゃんと読み拾えてたのね自分。
内容はといえば偉く地味なマンガで、12世紀ドイツの城を舞台に、当時の風俗を交えつつ、実際の騎士を描くというもの。
ワルキューレの冒険の富士宏って言う意味なら肩透かしも良いところで、女の子でてこないし(笑)
いやまぁ、朴訥と丁寧に、空気感のある作品が本来のこの人の持ち味で、その意味では正しいのだけれど。いやしかし、確かにコレは受けるのは難しいや(笑)
僕は大好きだが!(ボクが好むという事は、つまりは流行らないという事か(苦笑))

○BLOOD ALONE(3)
吸血鬼の少女と、青年作家のホンワカラブラブ漫画。前巻では緊張するシーンもあり、ヴァンパイア・ザ・マスカレードの如き闘争のシーンもあったのだが。今回は前編を通してゆるゆるのラブラブ(笑)
本来は、吸血鬼の少女ミサキの百面相を楽しむ漫画であろうが、今回は青年作家クロエの友人、サイノメがよろしい。
可愛い大人ってのは、ほら、なんだ。いいよな?

○熾火
東直己の探偵畝原シリーズ最新刊、本作でもう四作目か。
シリーズはゆったりと作品内時間が流れている、一作目で小学校4年生だった主人公の娘は、本作では高校一年生だ。冒頭で娘が作った秋刀魚尽くし(サンマぜめではないw)を食べるシーンなどは、つい和んでしまう。
が、今回の話はそんなことが吹き飛んでしまうくらい殺伐としている。
何しろ凄惨で、ただ凄惨で。読み進めるのが苦痛なほどなのだ。
目の前で恋人が拉致されてからそれ以後の徒労感、絶望感、疲労と悲嘆。それでもすこしでも前に進もうと身体を動かし続け、心を凍らせて。かすかな手がかりを元に手繰り寄せていく、しかし事件の全容は全くつかめず、恋人の元に少しも近付かない。
その一つ一つに読者は付き合わされるのだ、目をそむけることは出来ない。東直己の筆力がそれを許さないのだ。読者は、掻き毟る様な探偵の焦燥感と共に、闇の世界を訪ね歩くのである。
ハードボイルドとは非情・無情を描写の常とする小説の事である。東直己の小説、とりわけ探偵畝原のシリーズでは探偵がハードボイルドなのではない、彼を取り巻く世界が非情にして無情なのだ。
ところで、探偵小説は常として主人公は袋叩きに会うという流れがある。多分にもれず今回も畝原はフクロにされる。勇吾が毎度拷問されるのも同じながれなのだろう。
ハードボイルドの主人公はタフだ。

○食卓にはビールを
久し振りに読んだよ小林めぐみ。十年ぶりくらい?
やぁ、ナンセンスSFコメディですね。筒井とか火浦とかじゃなくて新井素子だなぁ。
なんてかね、結婚物語とか新婚物語とかあのへんの頃の新井素子
主人公、新妻で作家で女子高生。で、いいのかビールは呑んで?
この辺、全く設定の説明はされず、若奥様は飄々とご近所をうろつきながら、惑星国家間の陰謀や地球を狙う星間犯罪者の起こす事件を解決して回るという。事件が解決したら、ご褒美に夕食にビールをつけても良いのだそうだ。
なんだろね、このスットコドッコイは(笑)
中途半端に解決したら、ご褒美も中途半端に発泡酒になるそうな。
理に適ってる、のか?
現在、五巻まで出ているのでぼちぼち読み進めようと思う。
表紙のイラストが剣康之でキュートだぜ?