竜来る

ピンポーン♪ 呼び鈴が鳴る。
めずらしいな、誰だろう?
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、!!!!
ああ、はいはい、せっかちな客だな!
「わらわじゃ、ここをはよう開けい。」
おや、貴方はシルバードラゴンの麗銀星さんじゃないですか。
「うむ、近くまで来たので立ち寄ってやろうと思ってな。大儀無いぞ。」
急に押しかけてきておいてその言い草。
「不服か?」
いえ、光栄に存じます(平伏っ!)
「それにしても汚いところじゃな、少しは片付けたら如何じゃ?比喩でも誇張でもなく足の踏み場も無いではないか。爆撃でもされたかの様じゃ。」
や、足の踏み場ならソコと其処とそちらにございます。
「・・・よもや居住区で平衡感覚の技能判定を要求されるとは思わなかったぞ。ダンジョンかここは?どれついでじゃ、わらわが片付けてやろうか?(と言いつつブレスの体勢を執る)」
わぁ!やめてくださいよ。初夏も目前だってのに僕の部屋を氷漬けにする気ですが!
「サッパリするぞ。」
結構です!
それで今日はどういった誤用向きで?もしや僕の部屋を壊滅させるために銀風候領からいらしら訳では在りますまい?
「そんなに暇ではないぞ。このあともトーチポートに向かわねばならんのでな。行きがけに拠ったまでよ、一つ聞きたいことがあったゆえな。」
(そうか、ドラッヘンシュタットとトーチポートの間に川越って在ったのか。)聞きたい事と言いますと?
「ちゃおの編集部は何処じゃ?」
は?
「しらぬか?ほれ、貴様は漫画とか良く知っておるのでは無いのか?(と、周囲に散乱する書籍の堆積物、主構成要素マンガを睥睨する)」
ちゃお、と申されますとあの「ちゃお」ですか?なんでまた・・・。
「うむ、これだ!」(バサリと紙束を取り出す)
(マンガ原稿!)・・・・これ、もしかして麗銀星様がお描きになられたのですか・・・。
「ふふふ、読むことを許して遣わすぞ。光栄に思えよ。」
あう、この内容は・・・・。
「そうじゃ、わらわとチェレンコフ殿がモデルなのぢゃ。目の前で読まれると流石にこそばゆいのう。」
・・・・。
「ほれ、今回の事件でわらわは多識の扉の奥、竜儀の卓に引き篭もっておったであろ?その間にせめてもの手慰みにと思って、な。」
・・・・。
「やはり物語の題材は衆目の興味のある所を選ぶべきじゃと思うてな。大衆はわらわの様なセレブに興味があるという、有名人の恋愛は多く者が関心を寄せていると聞くぞ?」
(だれかコイツに女性週刊誌でもみせたのか?)
「わらわは恥らいを識る乙女じゃが、銀風候領を預かる身でもある公人じゃ。民草が求めるとあれば、しかたないチェレンコフ殿との愛の詩を詳らかにせねばなるまいよ。」
(花のように恥じらいながら、イヤしかしこの内容は・・・)確認ですが、編集部に持ちこむおつもりで?
「むろんじゃ!傑作が出来たゆえな。公表せねばそれは罪と言うもの。で、どうじゃ。感想をゆうてみぃ。苦しゅうないぞ。」
あー、なんと申しましょうか。あえて言うなら「ちゃお」と言うより「少女コミック」ですかねぇ。
「うむ?少々アダルティックにすぎたかの?」
はぁ、まぁ。(というか小学館じゃなくて富士美出版だろうコレは。)
「まぁよい、直接プロの意見を聞くのが良かろう。なんといってもそなたは只のおたくじゃしな。」
(なら聞くな)えー、じゃコレがちゃおの編集部の住所です。此方は電車の乗り換え案内です。電車賃あります・
「無い。」
はいはい、判りました。コレを使ってください、多めに渡しておきますので余ったらお昼代にしてくださいね。駅で迷ったら駅員さんに聞いてくださいよ。
「うむ、世話をかけるの。では言ってくるぞ、朗報を期待してるが良いぞ!」
はいはい、行ってらっしゃい。
「・・・・・。」

「・・・・チェレンコフ殿の役は是非オーランドブルームでいきたいのだがどうであろ?」
もう映画化のはなしかよ!そういうのは編集サンとしてください。
「・・・・一緒にはいけぬか?」
僕にも仕事があります。
「うう、そうであったな。無理を言って済まぬ。よし、イザ出陣じゃ!」
ふう、やっと行ったよ。
・・・。
まさかホントに掲載される事はないよね?