マンケン

夜勤明け、仮眠を取った後立川へ。
十年以上を連絡を取ってなかった人達と会う事になったからだ。

高校の時分、マンガ研究同好会に所属していた。その頃は学校に行くというのは、部活に出ると同義という感じでマンケンで阿呆な事ばかりしていたように思う。
卒業した後、しばらくして苦しくなってきた。就職したのは僕一人だった事と関係があるのかもしれない、良くわからないけど。ただ、漫然と仕事を続ける日々に強く苛立っていたのは確かだ。
がまぁ、それに対する突破口も彼らからもらったんだけどね。
同人誌をやったり、舞台で寸劇をやったり。とにかく何かに関っていく姿勢を持って、その上で会社生活を送っていくスタイルはこの頃出来たのかもしれない。

そうしていたって苦しかったり悩んだりしていたけどさ。答えの一つとして僕は一番好きだったRPGでコンベンションを始める事にした。一人で。
誰かにくっついていく形じゃなくて、シンプルに判り易く自分の責任で。
ソンナ風に自分の中身がシフトしていく中で、だんだん彼らとは疎遠になって行った。
ああ、こうやって言葉で書いていても纏らないね。少しでも伝わっていれば良いが。

10年以上が過ぎて、でもアノ頃の事を一時だって忘れた事は無いんだ。
意識的に物語を読み取る、作り手の立場になって作品を俯瞰する。そういった訓練を受けたのはマンケン時代の事だし、RPGを続ける上で血肉になっていたことだし。
でもまぁ、もう会うことは無いカモとは考えていた。
漫画の業界に入った人たちも居て、彼らの活躍をチラリとも確認できたら嬉しい、そんなスタンスで構えていた。

ある日mixiでメッセージが届いた。
「貴方は拓大一高漫研のいしかわ君ですか?」
びっくりし、のけぞり、戦慄し、あわてて、興奮した。
メッセージをくれたのは僕が一番影響を受けた先輩だった(腹が黒いところとかなw!)
ソコから一転、昔の仲間の動向が再び聞こえてくるようになる訳だ。
10年以上だよ、後輩の一人からは15年ぶりとか言われてしまったよ。
色々あったらしい。人生だものな、ミンナそれぞれに色々あるよな。
そこでハタと我に返る。
自分はどうなのよ?

相も変らぬ毎日だ。
モチベーションに関係なく、職場に行けば仕事が待っている。サラリーマンだ、阿呆でも首にならなきゃ給料だけは出る。
日々は息を止めてやり過ごして、ウィークデイでバカ騒ぎ。あまりにも変わり映えしネェ。
進歩のねぇ10年。
キャリアを積んだわけでも、スキルを積んだわけでもネぇ。社会的信用?あるわけもねぇ。こちとら冴えねぇ工場労働者だぜ。
結婚してか家庭を持ったわけでもねぇ。つーか恋人すらいねぇジャン?オレ。(アノ頃は多少はもてたなぁ(笑))
GMの技量はあがった。けどそれがナニ?
あとはゆるくなった腹の周りくらいか。
目眩がしてきた、気分も悪くなるっつーの。や、今更どうジタバタしても始まるもンでもないけどさ。

今回、花見をやるってんで集る事に相成った。
副題の一つが「いしかわ君 サルベージ記念」とされた。はわわ、テーマの一つですか。
期日が迫るにつれ期待と恐怖で頭ン中はぐちゃぐちゃですよ。
当日、家に帰って仮眠をとっても良く寝れねーの。落ちつかねー。
移動中mixiの日記に何か書き込もうとするんだけれど、何書いて良いかわかんない。開いては閉じて、開いては閉じて、結局何も書かずじまい。
ダッセェ。

で、そわそわして待ち合わせの場所に居る。辺りをキョロキョロと見渡したり挙動不審。でも、結局向こうの方で僕を見つけて声をかけてもらったりなんか。(この辺、暗示的だよなw)
やあ、久しぶりってなもんだ。
あー、おい、変わってねぇなぁ。
・・・・・・。
そう、変わってねぇンだよ(笑)
や、太った人もいたけどさ(オレとかなw)
ミンナ全然かわってねぇー!!
久し振りに会ったんだ、近況とかあるでしょ?仕事の話とか、家族の事とか!
おい、オマイラ。漫画とアニメと特撮のことしか話す事ねぇのかよ!!(爆笑)
ああ、あった。他にも話す事あった、ゲームの話な!

笑った。
そして少し泣けた。
それぞれにいろんな事情はあるようだけど、総じてミンナ変わらず元気だった。
嬉しかった。
気が付くと、僕の腹の底に燻っている物対する疚しさの様なものが晴れていた。
だから、帰るときには「また今度」の話をした。
また今度ねー。
うん、また今度。

付記
カッシー先輩へ。
あたしゃ10年以上前に先輩から5千円借りて返していないような気がするんですが。
どうしましょ?