巫覡

あきつ丸が鎮守府に来てくれたのは、ひと月以上前になるのだが。

ひっかるセリフが一つあった。
「自分には、敵艦隊が見えるのであります!」

受け取り方は二つ。
「自分には(海軍にさんには見えない)、敵艦隊が見えるのであります!」
「自分には(海軍さんと同じように)、敵艦隊が見えるのであります!」

最初前者だと思って、「なんでこの人はケンカ売ってきてんだろう」とかんじたのだがー。
後者の意味もあると気が付いたとき、ああ、なるほどと得心したりとか、したのです。
つまりは、「敵」は艦娘と、それに類する存在には見えない、諸人には感じられない脅威なのか、と。

もとより、無念残念のネガティブな想念の集合ととらえられていたので、それは自然なのだろう。つまりは、アレは悪霊怨霊の類なのだ。

対するに、彼女たちは「過去の戦船の記憶を持つ」とされている存在だ。なるほど、招霊降霊の業でもって、その身に宿しているのだ。概念として「彼女」として扱われた存在を、人格としてではなく、神格として扱うことによって。
それは巫女だ。女性にしかできないことにも説明がつく(少女であることも)
弓と矢や、呪符などの小道具も符合する。羅針盤は卜占だ。艦娘を使うという事は、もしかしたらソロモンの魔神を使役するのに近いのかもしれないぞ。
あの姿はあれだ、シャーマンキングのオーバーソウルみたいなもんだ。うん。
解体された娘は、偽装を失って一般人に戻ると公式が発言してるらしい。すると彼女たちはバイト巫女なのか。そうかもしれない。
調伏された怨霊は、祭られ、慰撫されることで神として括られる。「敵」を倒すと、艦娘が出現するのはそうした流れからなのかもしれない。
なるほど、なるはどー。



と、まぁ、そんな感じで一気にストンと。
だからなんだってこともないんですけどもね?