- 作者: 藤沢周平
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1984/09/27
- メディア: 文庫
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用心棒日月抄の続編。前作のラストエピソードでちらりと顔見世した人物達を中心に、繰り広げられる追跡劇。前回は追跡を待ち受ける側だった主人公、今回は追手として江戸に舞い戻る。
藩政治を巡る陰謀から三ヶ月、漸く安穏とした生活に戻ったかと思われた、青江又八郎。しかし、事件を巡る暗闘は新たな局面を持って、青江に再び脱藩を促す。この主人公、つくづく貧乏くじを引く巡り合わせらしい。
しかし前回は、若く世間知らずな浪人さんであった又八郎だが、二年の用心棒生活ですっかりすれて、くえない浪人剣客として成長しているのだった。や、それもどうかとも思うが(笑)
今回の見所は、女密偵と又八郎との情交であろうか。この女忍者が、又なんとも言えず萌えキャラなのである。表情をみせず、感情が無きがごとく見えるしのびの女だが、又八郎とふとした事で心が通う時、意図せず女の素顔が見え隠れする。ソレナンテアヤナミ?よもや、藤沢周平で萌え殺されそうになるとは思わなかったぞ!
女性キャラは各エピソードに合わせて幾人も出てくるし、皆魅力的ではあるのだが。全編を通して主人公に協力し、時にピンチに駆けつけ、時にあわやの場面を主人公に救われる。やはり描写の量がちがいます。
ラストもぐっと来るぜ。
それにしても、藤沢周平はエピソードの入り方と切り方が抜群に上手いなぁ。