■楓の剣 かげろふ人形 かたやま和華


読了の7
なんとはなしに時代小説、それも江戸物が読みたくなった。
本屋の書架の前に立ち、そこでそうだな、藤沢 周平でも手に取れば良いものを。
や、しかし、読んでなかったんだモノ。目に付いちゃったら仕方ないジャンねぇ。
というわけで、富士見ミステリー文庫である。

榊原楓は大身旗本の姫でありながら、一刀流を修めた女武芸者である。男の装いに勝気な性格が合いあまって、ついたあだ名は「榊原の小天狗姫」
腐れ縁のおさな馴染みで、許婚である、南町奉行の次男坊、筒井弥比古とともに、今日もお江戸の怪事難事に首を突っ込む。
上記の二人が主人公。楓のツンデレっぷりを楽しみながら、軽妙な痴話げんかを読んでると、なんだか愉快な気分になれます。
このシリーズ、事件は起こるのですが(ミステリー文庫だし)みんな怪力乱神、妖術怪異の事件であったり。ゆえにか、事件に首を突っ込み、情報を集めるのは二人の役目なのですが、推理し解決を図る役は別にいまして。
これが三人目の主人公。大店菓子舗の若旦那、美濃屋嘉一とその護法童子の羽瑠であります。
嘉一さん、鬼の子と呼ばれており、熊野比丘尼の血を引いておりまして。二人に内緒で術を使っていたりとか(ちょっとヒーロー物っぽい?)

ケレンたっぷりの、まぁふつーのライトノベルです。が、やたらめったら江戸の町が上手に描写されてるんですよ。
やあ、しかもその文章が小気味の良い事。
江戸に対する作者の豊富な知識量、その裏づけたる江戸愛(?)をひしと感じます。